紅葉する植物の言葉9選!桜紅葉や柿紅葉、和の情緒を感じる秋

秋になり、紅葉するのはモミジだけではありません。桜や梅、柿や漆、葡萄の葉の紅葉も見事です。さまざまな紅葉の美しさに気付いたら、秋の愉しみの幅が広がりますね。

桜紅葉や柿紅葉、草紅葉など、紅葉する植物に関する風流な言葉を紹介します。

紅葉する植物の言葉(1)草紅葉(くさもみじ)

草紅葉とは、草が色づくことを指す言葉です。

草紅葉が見られるのは、樹木よりひと足先。足元の草が先陣を切って、秋の訪れを知らせてくれます。「紅葉の始まりは、草紅葉から」なのです。

草紅葉を愉しめる代表的な場所が湿原です。見渡す限り赤い草紅葉。とても見事です。

黄金色に色づく草紅葉も風情がありますね。秋風が吹くと、そよそよと優しく揺れます。とても穏やかな秋の表情です。

草紅葉は、山肌も染め上げます。草の紅葉の別名は、「草の錦」。あたりを染める色合いは、たしかに錦のようです。

山肌を染める草紅葉の代表といえば、高山植物のチングルマ。夏に群生して咲いているのを見ると、可憐な咲き姿に心奪われます。

チングルマは、花が咲き終わった後も可愛いのです。花後のチングルマは、なんとこんなユニークな姿へと変わります。柔らかな髪の毛をなびかせているかのようですね。

そして、いよいよ秋。草紅葉の季節が訪れると……。

緑色の葉が、すっかり濃い赤に染まります。夏からはまったく想像もできないような色合いです。

湿原や山に出かけなくても、草紅葉と出会えます。たとえば、イヌタデやヨモギ、メヒシバ、そしてエノコログサ。庭の片隅や道端、空き地で見かける草たちも、草紅葉の主役です。

ふと目をやれば、秋の日差しを受けて揺れる草紅葉。こうして秋色に染まりながら、ひっそりと冬の準備を進めているのですね。

先人たちはその一途な美しさに目を留めて、草紅葉と呼んで愛でてきました。草木の下葉が紅葉することを「下葉」とも呼びます。

季節の移ろいに心を配り、言葉にして愛でる……その繊細な感性に頭が下がると共に、大事にしたいと改めて思います。

紅葉する植物の言葉 ‎(2)桜紅葉(さくらもみじ)

桜紅葉とは、秋になって桜の葉が紅葉すること。紅葉した桜の葉自体も指します。

桜というと春のイメージです。花が散って葉桜になってからは、あまり意識しないかもしれません。秋はなおさらでしょう。

でもぜひ、紅葉の時期にも桜に目を向けてみてください。桜紅葉はとても美しいのです。

桜紅葉の魅力は、その落ち着いた色合い。緑から黄色へ、そしてオレンジ色へ。柔らかな色合いです。

そして終盤のほんのひととき、もう一つのお愉しみが待っています。葉の表だけが、真っ赤に色づくのです。

真っ赤な桜の葉は、まもなく落葉します。散り積もった葉の何と美しいこと……と思って調べてみると、なんと桜の落ち葉は「桜の落ち葉染め」に使えるのだとか!

葉をじっくりと煮出し、寝かせておいた染色液。布や糸を染めると、淡いサーモンピンクやローズピンクに色づきます。

ぐつぐつと煮出すときには、桜餅のような香りが漂うそう。桜の落ち葉染め、一度試してみたいものです。

紅葉する植物の言葉 ‎(3)梅紅葉(うめもみじ)

梅紅葉(うめもみじ)は、梅の葉が紅葉することを指す言葉です。なんと淡く繊細な紅葉なのでしょうか!

梅紅葉には派手さはありません。でもおとなしい色味だからこそ、味わい深い趣が感じられませんか?

梅紅葉は、色づいてもほとんど目立たず、すぐに散ってしまいます。梅紅葉という言葉を知らなければ、紅葉の美しさを見過ごしてしまうことでしょう。でも、こんな繊細な紅葉を見逃すなんて、もったいないことです。

梅紅葉には、モミジや銀杏とは違ったささやかな美しさがあります。その美しさを穏やかに愛でると、とても豊かな時間が過ごせそうです。

紅葉する植物の言葉(4)銀杏紅葉(いちょうもみじ)

銀杏紅葉とは、イチョウの葉が黄金色に色づくこと黄色に染まったイチョウの葉自体も指します。

銀杏紅葉は、あたりを黄色い世界に塗り替えてしまいます。見慣れた景色も、銀杏の黄色に包まれると、まるで映画の舞台のようです。

銀杏紅葉の時期には、ぜひとも銀杏並木に足を運びたいもの。足元を見下ろせば鮮やかな黄色の絨毯、見上げればあでやかな黄葉の数々、そして澄み切った青空。とても心地いい空間です。

ベンチに腰を下ろして本を読んだり、落葉したイチョウをカサカサと踏み分けながら散歩したり……銀杏紅葉は秋の静かなひとときを過ごすのにぴったりです。

紅葉する植物の言葉 ‎(5)柿紅葉(かきもみじ)

柿紅葉とは、柿の葉が紅葉すること紅葉した葉そのものも指します。

柿紅葉の魅力は、なんといっても色が入り混じっていること。鮮やかなオレンジ色に、くすんだ赤茶色、ほんの少しだけ夏の緑も残っています。緑も一様ではなく、黄色がかった緑や深緑もあります。

たった一枚の葉の中で、さまざまな色が主張するさまは、柿紅葉ならでは。自然がつくった配色は、日本の里山の風景にしっくり馴染みます。

紅葉する植物の言葉 ‎(6)葡萄紅葉(ぶどうもみじ)

葡萄紅葉とは、葡萄の葉が紅葉していることを指す言葉です。

葡萄を収穫し終えた後、葡萄畑には秋の冷たい空気が満ち始めます。その冷気を受けた葡萄の葉が美しく紅葉するのです。

紅葉し終えるころ、葡萄の葉には最後のひと仕事が待っています。葉に蓄えた養分を枝に、そして根へと送り込みます。そして役目を終えたとばかりに、散っていくのです。来年も、おいしい葡萄をたくさん実らせてくれるでしょうか。

葡萄紅葉の色は、品種によるのだとか。まばゆいばかりに輝く黄金色、まるで夕日のような緋色。どちらも秋ならではの色合いです。

紅葉狩りといえば、モミジや銀杏が定番。でもときには、黄金色や緋色を求めて、葡萄紅葉を見に行くのも趣向がかわっていいものです。

紅葉する植物の言葉 ‎(7)漆紅葉(うるしもみじ)

漆紅葉とは、漆が紅葉すること。漆紅葉の魅力は、紅葉しきったときの鮮やかさ。深紅に染まった漆紅葉と、澄んだ秋空。コントラストが見事です。

漆は、まだ他の木々が緑の葉を茂らせている頃から、紅葉し始めます。真っ先に紅葉の季節を告げてくれる樹木なんです。

漆には、つるを伸ばして生長するツタウルシもあります。幹をよじ登りながら紅葉する姿が可憐です。

蛇足ながら、漆に触れるとかぶれてしまいます。美しさに心惹かれて、つい近づいてしまわないように……ほんの少し離れた場所から愛でたいものです。

紅葉する植物の言葉 ‎(8)櫨紅葉(はぜもみじ)

ウルシ科ウルシ属の櫨(はぜ)の木も、紅葉が見事。櫨の葉が色づくことを、櫨紅葉と呼びます。

真紅に染まった櫨紅葉は、これぞ真っ赤な秋。秋の季語として、多くの歌人に詠まれてきました。こんな赤を見ると、たしかに心が動きますね!

でも櫨紅葉は、まだ色づき始めた薄紅葉の時期も美しいのです。

緑の葉に、ほんの少しずつオレンジ色の葉が混ざり始めます。やがて深紅に染まり、秋空に燃え上がるのです。

櫨は身近な木ではないかもしれません。でも漆と並び、真っ赤な秋を見せてくれる木として、秋に探したいものですね。

紅葉のつく言葉(9)雑木紅葉(ぞうきもみじ)

雑木紅葉とは、雑木林の紅葉のこと。楢やブナ、クヌギなど、さまざまな樹木が紅葉するさまを表す言葉です。

黄色や朱色、オレンジ色など、さまざまな色合いが重なって、とても明るい光景です。こんな紅葉に出迎えられると、気持ちが透き通っていきますね。

雑木紅葉も秋の季語です。紅葉が愉しめるのは、紅葉の名所だけではありません。名もなき林を目指してみると、美しい雑木紅葉が出迎えてくれるかもしれませんね。

まとめ

春は桜、秋といえば紅葉。涼しくなってくると、今か今かと紅葉を待ちわびます。紅葉前線が気になり、お出かけの予定を考えるのが楽しい季節でもあります。

でも紅葉するのは、モミジや銀杏だけではありません。道端には草紅葉、いつも通る桜並木も紅葉します。紅葉する期間はほんのわずか。一つでも多くの紅葉を見つけて、冬を迎えたいものですね。

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